『機長からアナウンス』

機長からアナウンス (新潮文庫)

機長からアナウンス (新潮文庫)

先日、仕事の関係で成田と羽田の空港で働く方のお話をうかがう機会があった。空港や飛行機という「なぜ鉄の塊がちゃんと飛ぶのか」「飛ばすまでにどんなことをしているのか」など全くわからない、いわばブラックボックスである航空業界について多少お話をうかがえ、興味がわいてきた。


そんなこんなで、普段は小説、それもフィクション専門の私がこのエッセイ本を買ってみることにした。


著者は国内線、国際線などに機長として乗務、その後操縦教官も務めていたパイロットである。飛行機のパイロットといえば、その昔クラスに1人くらいはあこがれているこどもがいた花形職業。本書はそのトレーニングや、普段の乗務について、免許の更新(健康診断が年2回。その他試験もまた年2回もある)、スケジュール等々について語った内容である。


この著者、パイロット体験談を単に解説的にするのではなく「サーモンのライス添え」「飛行機酔いをさせないテクニック」「全員が居眠りで目的地通過!」など、乗務員たちの面白いやりとりから、え?!ホントに?という話までなかなか面白い話し手である。


ちなみにこの本は第二弾『機長からアナウンス 第2便』

機長からアナウンス第2便 (新潮文庫)

機長からアナウンス第2便 (新潮文庫)

というのもある。

今回両作品を通して感じたのは「パイロットって結構普通の人だし、意外にサービス精神*1にあふれてたりするんだなぁ」ということだった。


なんとなく「空の安全を守るためには常に冷静パーフェクトなエリート」的イメージがあったパイロットもやはり人。もちろん安全を守るために、我々の想像以上に努力されているのは本当であるが、決して余裕綽々なスーパーマンではなく、努力の秀才なんだなぁと感じさせられた2冊だった。

*1:状況が許せば「もう少し下を飛んだほうがお客さんは風景が見られて楽しいだろうから」と飛んだりする