『時のかなたの恋人』

時のかなたの恋人 (新潮文庫)

時のかなたの恋人 (新潮文庫)

以前どこかのHP(ネットの読者書店か?)でお勧めになっており、大学2年ごろ図書館で借りて読んだ。ふと古本屋で手に取り、昨日再読。
旅行先の墓地で、恋人ロバートに置きざりにされたダグレス。教会で「私の恋愛はどうしていつもこうなんだろう?私の輝く鎧の騎士はどこにいるの?」と泣いていたところ、なんと本当に鎧姿の騎士が現れる。濡れ衣により処刑数日前だった16世紀から来たというニコラス。半信半疑ながら、彼の知るべき真実を共に探すうちに二人はいつしか…という話。ちなみにその後、ダグレスも過去へ時間旅行を経験。今度は、「ダグレスに出会う4年前のニコラス」の所へ。周囲に迫る危険から彼を守ろうと奮闘するダグレス。当初彼女を信用しないニコラスもいつしか…という話。
まぁ少々ご都合主義の、めためたベタベタなロマンスである。ただし、そのベタなところが面白いとも言えるかも。
主人公の小心者なんだか見栄っ張りなんだか豪胆なんだか分からない行動も、結構ほほえましい。ただし、あれだけ恵まれた環境だろおい!?という状況で、あれだけ「私不幸なの。誰か幸せにして」と目で訴えていたら、ちょっとうざいと思われても仕方ないかも。きっかけはささいすぎるしやりすぎではあるが、ロバートの心も分からなくもない。でも、そんなにヤなら付き合わなきゃいいんだよね。変に打算的に我慢したりしないでさ。そこは明らかにロバートが悪い。
とりあえず、ニコラスの俺様っぷりは「貴族ってそうなんですか」という代表例?あれは女にもてるね。バカだけど。見目がよくて貴族で金があって自信のある男なんでいくらでも女が寄ってくるね。しかし、女遊び以外に目を向けさせてくれる、自分に意見を堂々とする人(未来から来たダグレス)と早めに出会えてよかったね。あのままいっていたら、プレイボーイどころか女にだらしのないダメ男まっしぐらだったもんね。場合によっては、プライドが高い分才能を浪費しかねなかったよ。
というわけで、だれかしらがいつも必死な話。
エリザベス1世前後のイギリスの情勢(特に王室関係)を知っていると、よく分かる。知らなくても「ロマンス小説」としては読めますが。あと、史実的にどれだけ正しいかよく分からないが、16世紀の衣装とか生活とかについての描写が個人的には面白かった。
しかし、タイムトラベルものなんですが、結構簡単に歴史書き換えちゃってますけどいいんですかね?普通「タイムパラドクスが〜」とか「歴史の不可変性」とか何とかいってなかなか変えさせなかったりするのに。
あと、ニコラスの肖像画の受け渡し方法って、『トムは真夜中の庭で』がモトですかね??